本年度は複素漸近解析とホモロジー方程式系を中心にして、研究をおこなった。特に、完全WKB解のresummationと解析接続に関して、興味ある結果を得た。また、フックス型方程式の特異解の構成とリーマンヒルベルト問題についても、興味ある結果を得た。(これらの結果は現在2つの論文が投稿中であり、その他1つは掲載予定である。)研究集会の開催に関しては、京都大学数理解析研究所でのシンポジウムの主催(Workshop on New Trends and Applications of Complex Asymptotic Analysis)(2005.5.30-6.3)をして、イタリア・ピサ大のS.Marmi教授、フランス天体力学研究所のDavid Sauzin教授を招聘して、その他国内から50余名の参加者を得て、研究会を主催した。これは完全漸近解析とリーマンヒルベルト問題の微分方程式への応用がひとつの重要なテーマになっており、本研究と密接に関連している。Marmi教授は本研究からの援助を得た。また、2006.1.13-14には広島大学で研究集会、「理論と応用からみた微分方程式の最近の話題」を主催した。これは内容的には特異微分作用素の研究で本研究と密接に関連している。講演に関しては、国際会議での講演として、2005年7月14日に国際会議「Algebraic Analysis of Differential Equations(京都)」で講演題目「WKB analysis and small denominators for vector fields」で講演をした。また、2005年12月16日に日本数学会関数方程式分科会で講演題目「WKB解析とリーマンヒルベルト問題のベクトル場の標準形理論への応用」で講演をおこなった。これ以外に日本数学会での一般講演が3件、「特異非線形偏微分方程式系に対するフロベニウスの方法とRiemann-Hilbert問題について」「ベクトル場の標準形とexact WKB analysis」「共鳴ベクトル場の標準形と完全WKB解の特異性」をおこなった。研究集会では、主に2006年2月2日東北大学(仙台)での研究集会で「完全漸近解の特異性と標準形理論」2006年2月18日につくば大学での研究集会で「Normal form theory of vector fields and exact asymptotic analysis」の題目で講演をおこなった。
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