本研究は、顕微鏡下のone-shotで撮影した像から、3次元情報を取り込むことを目的としている。従来の一定間隔で断層映像を複数撮影する方法に比較して高速に取得することが可能になる以外にも、深度方向の位置精度を撮影間隔に依存せずに向上しうる。 当初はレーザー光を用いた照明下での取得を試みたが、本年はHg-Xe放電管による高輝度光源を使用した、低NA照明による部分コヒーレント条件下での画像取得を中心に行った。ピエゾ素子による対物レンズ移動を行いながら光軸垂直方向(深さ方向)に0.7μm等の間隔で画像取得を行い、同一の粒子(現像銀)の回折像の変化を追跡した。その結果、像面の正負両方向に±12μm以上に渡って回折像が確認できた。但し本研究のセットアップでは正側と負側の区別ができないため有効な領域は12μmとなるが、エイリアスを認めるならば倍の厚みを得ることができる。回折像を得られる焦点外れの限界は、主には撮像素子のダイナミックレンジによるものと考えられ、高ダイナミックレンジの撮像素子を用いることでこれらは改善可能である。また照明を含む光学系を改良し、最適化することでも回折像を得られる厚みを増やすことができると考えられる。これらの改良を行うことで、本研究の主目的である原子核乾板の読み取りに必要な30μm以上の3次元画像の取得は達成可能であると考えるに至った。また、粒子数が増加し回折像が多数重なり合う状態についても画像を取得し評価を行い、一定の知見を得ているものの、より詳細な解析が必要であることが解った。
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