研究課題/領域番号 |
16654043
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
吉森 正人 立教大学, 理学部, 教授 (30062657)
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研究分担者 |
柳町 朋樹 立教大学, 理学部, 助教授 (70200540)
佐々木 研一 立教大学, 理学部, 教授 (70022647)
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キーワード | 宇宙線生成核種 / 地球高層大気運動 / 大気トレーサ |
研究概要 |
1.Be-7は、宇宙起源の放射性核種であり、地球大気に入射する銀河宇宙線および太陽高エネルギー粒子と大気中の窒素、酸素核との衝突により生成される。Be-7が測定された2002-2005における宇宙線のエネルギースペクトルを推定し、生成されるBe-7の高度分布を計算した。この結果からBe-7の70%が成層圏で、そして30%が対流圏でつくられることが示された。 2.2002年以降、地上でBe-7濃度の連続測定を開始した。Be-7濃度は、毎年、春と秋に2-3倍程度増加することが見出された。この増加は、成層圏および対流圏における大気運動に起因すると推定されるが、特に日本上空では春と秋に偏西風によって移動性高気圧と温帯低気圧が対になって数日の周期で通過することが知られているが、これにともなって成層圏と対流圏間で大規模な大気の循環が発生し、高層に留まっているBe-7が地表へ効率よく降下するというモデルを提案した。 3.Be-7以外に地球起源のPb-210もBe-7と同様な季節変化を示すことがわかった。Pb-210はウラン系列の放射性核種であるが、その地上での濃度の時間変動は、他の地球起源の核種とはまったく異なる。これは、Pb-210が地殻の岩石から放出されるRn-222の娘核であり、Rn-222が希ガスであるために地表付近の微粒子に付着せず、その一部は高層にまで上昇するためであると考えられる。
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