研究課題
本研究課題では超高真空下で金属物質に交流電場(マイクロ波)を印加し、そのフェルミ面の変化を光電子分光でマッピングする実験を行なっている。昨年度までに超高真空マイクロ波導入フランジを開発したので、本年度は実際の測定を行なった。フランジは2種類準備し、一つはSMA端子型で真空耐久性は高いがマイクロの透過性が悪く、もう一つは導波管型で真空耐久性は低いが透過性が良い。本年度は前者のものを使用して測定システムを立ち上げた。約130Kに冷やしたCu(111)表面のフェルミ面を、マイクロ波照射の有無でマッピングしたところ、10^<-10>Torrの超高真空度で安定した測定が実現できたが、フェルミ波数の優位なシフトは確認できていなかった。マイクロ波の光強度不足が主な原因と考えられるので、現在は後者のタイプによる測定システムの立ち上げを進めている。本年度はさらに光電子分光における波数分解能を向上されるために、真空紫外光のスポットサイズを小さくするためのトロイダルミラーの設計・設置も行なった。本研究プロジェクトの一環として行なわれている低次元金属フェルミ面研究では、Si(111)表面上Ag超薄膜の量子化状態を詳細に調べた。Si清浄表面上の超薄膜は2次元電子系を成したが、Si(111)表面上に原子鎖列を並べて(Si(111)4x1-In表面を作成して)、その上にAg超薄膜薄膜を作成したところ膜内の電子は擬1次元電子系になることが分かった。このような界面原子一層による電子の次元性の制御は初めての観測である。以上のように本年度は予定通り段階的に研究を進めており、さらに研究対象系について新しい発見をした。本研究者は上記以外の系にも研究を従事し、別紙論文リストに示すように報告した。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (18件)
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