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2005 年度 実績報告書

電荷移動錯体における電場変調分光法による強誘電ドメイン観察

研究課題

研究課題/領域番号 16654049
研究機関名古屋大学

研究代表者

岸田 英夫  名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40311633)

キーワード電荷移動錯体 / 強誘電性 / ドメイン構造 / 電場変調分光 / TTF-CA
研究概要

本研究の目的は、電荷移動型有機錯体における強誘電ドメインパターンおよびその電場下の運動を実空間上で観察し、ダイナミクスを明らかにすることである。ドナー性分子とアクセプター性分子からなる有機錯体結晶の中には、ドナー・アクセプター間で電荷移動が生じてイオン結晶になる物質群がある。イオン性的な結晶においては、各分子に一つずつの孤立スピンが存在するために、スピンパイエルス機構によりドナーとアクセプターが対を形成する。正電荷をもつドナーと負電荷をもつアクセプターが一次元軸に沿って対を形成するために強誘電体になる。強誘電分極の方向は一次元軸に対し正負の二通りのみが許される。その結果、分極の向きが180度異なるドメインがモザイク状に配列する。この180度ドメイン同士の境界であるドメイン壁は電荷を持ち、電場によって移動するキャリアとして振舞う可能性がある。
前年度までに整備した顕微鏡下電場変調測定系を用いて、テトラチアフルバレン-クロラニルTTF-CAにおける電場印加下のドメイン変形の動的な振る舞いを研究した。具体的には、電場強度に対する強誘電ドメインの変形の様子を観察した。試料に印加する電場を徐々に強くすると、低電場では静止していたドメイン壁が、閾値(2kV/cm)を越えると運動をはじめ、10kV/cm近傍では結晶全体にわたり運動することが明らかになった。閾値が存在することからドメイン壁はピニング効果を受けていることが分かった。電場を下げるとドメインパターンは元に戻ることから、ドメインパターンをきめるピニングは結晶作成時に導入される外的要因の可能性がある。また隣り合う一次元鎖のドメイン壁はほぼ同じ場所に位置し同じダイナミクスを示す。このことから、ドメイン壁同士が何らかの相互作用を及ぼしていることも明らかになった。このように、電荷移動型有機錯体における強誘電パターンと電場下の運動を明らかにすることに成功した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Valence Fluctuation and Domain-Wall Dynamics in Pressure-Induced Neutral-to-Ionic Phase Transition of Organic Charge-Transfer Crystal2005

    • 著者名/発表者名
      H.Matsuzaki, H.Takamatsu, H.Kishida, H.Okamoto
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan 74(11)

      ページ: 2925-2928S

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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