研究課題/領域番号 |
16654053
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三谷 誠司 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (20250813)
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研究分担者 |
薬師寺 啓 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10361172)
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キーワード | ナノ粒子 / 磁性 / 磁化反転 / スピン注入 / スピン蓄積 / 単一電子トンネル / 微細加工 / 磁気メモリ |
研究概要 |
近年、微小磁性体における新しい物理現象として、スピン注入磁化反転が注目され、精力的に研究が行われている。現在の研究の主流は電流駆動型のスピン注入磁化反転であり、スピン偏極電流から磁性体の磁化への角運動量のトランスファーに起因するものである。本研究はこれとは異なるメカニズムによるスピン注入磁化反転現象を探索するものであり、具体的には微小な強磁性2重トンネル接合において期待される電圧によって駆動される化学ポテンシャルのスピン分裂による磁化反転の観測を目指す。 本年度は、トンネル電流の大きなスピン分極が期待されるMgOバリアを用いて、ナノ粒子を含む2重トンネル接合を作製した。MgOバリアを用いた単接合では、100%以上の磁気抵抗比を確認し、さらにプローブ顕微鏡観察とそれにもとづく成長条件の最適化により、高品位の2重接合を得た。微細加工した試料において、磁気伝導特性を評価した結果、クーロンブロッケイド等が観測され、電圧駆動の磁化トルクが期待されたが、抵抗変化という明瞭な現象として観測されるには至らなかった。磁化トルクが最大となるようにトンネル抵抗等を最適化する必要があると考えられる。 スピン蓄積の観測に関しては、MgOバリアを用いることによって、Al-Oバリアの場合より大きな磁気抵抗効果を観測することができた。Fe/MgO/Auナノ粒子/MgO/Feという構成の2重トンネル接合を微細加工し、4.2Kで測定した磁気抵抗比は約0.5%であった。Al-Oの場合より約5倍大きなスピン蓄積が生じていると考え、MgOバリアの方が電圧駆動磁化反転に適していることが実験的に明らかになった。 ナノ粒子系の磁気伝導効果に現れる高次のトンネル効果についても調べ、磁化反転に及ぼす影響を検討することも行った。 以上のように、ナノ磁性粒子の電圧駆動磁化反転に関する種々の基礎的知見を得た。
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