吸収分光システムに必要な3要素、すなわち1)帯域、2)分解能、3)感度のすべての特性において、究極の性能を引き出すレーザー分光システムを開発するのが本研究の自的である。本研究ではモードロックパルスレーザーを広帯域のCW光コム光源と見なし、共振器セルのモードとの間でFSR'=FSR、Δφ=0の条件を満たしながら、レーザー光全体を1FSR分だけ周波数掃引する。共振器セルの透過光をグレーティングで分散し、各モード光の透過をマルチチャンネルシャッターで制御したあと単一ヘテロダイン検出し、相関法で広帯域スペクトルに復調・合成する。 モードロックレーザーとして光コム発生器を準備した。これはチタンサファイア:フェムト秒モードロックレーザーの光を非線形ホトニックファイバーを通すことで、500-1000nmの間をモード間隔250MHzの光コムでに埋め尽くすことが可能になった。また、オクターブを越えるマルチモードの光コムを発生させることによって、自己倍波同期型の位相安定化が可能となり、光の周波数を12桁の精度で決定することが可能になった。したがって、レーザーのオフセット周波数を250MHz掃引することによって、全領域を連続的にカバーする光源とすることができた。
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