研究課題/領域番号 |
16654083
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
近藤 忠 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20252223)
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研究分担者 |
大谷 栄治 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60136306)
鈴木 昭夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20281975)
寺崎 英紀 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50374898)
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キーワード | 地球・惑星内部構造 / 惑星起源・進化 / 固体地球物理学 / 岩石・鉱物・鉱床学 / 地殻・マントル物質 |
研究概要 |
本年度は、木星・土星の主成分と考えられる水素-ヘリウム系の混合ガスを使った高圧実験を行った。初期組成でH_2:He=1:1及びH_2:He=3:1の混合ガスを用意し、昨年度開発したダイヤモンドアンビルセルにガス試料を充填した。各試料について高圧下での相変化を顕微鏡下で観察し、各相のラマン散乱測定を行った。顕微鏡下の相変化観察では5.8GPaから均一流体相が水素濃集相とヘリウム濃集相の二流体相に分離し、6.5GPaで水素濃集相が固化する様子が観察された。更に加圧を続けると、ヘリウム相に対する水素溶解度が低下によると見られる、水素濃集粒子が内部に析出するのが見られた。ラマン散乱の結果からは、水素分子の伸縮運動に対応するQ1モードの圧力シフト、転移に伴う周波数の不連続変化が見られ、ヘリウム濃集相中のQ1が12.9GPaで消失する事が分かった。これは、顕微鏡観察では確認できなかったヘリウム濃集相の固化に対応すると考えられ、これらの測定はH_2:He=1:1の試料で30GPaまで、H_2:He=3:1の試料で17GPaまで行われた。以上から、固化したヘリウムに対して水素は殆ど溶解せず、高圧下では固体二相に分離すると考えられる。また、H_2:He=1:1とH_2:He=3:1の試料では、ラマンの圧力シフト量及び勾配が異なり、ヘリウム濃度依存を確認したが、過去に報告のある組成とラマンシフトの関係式とは一致しないことが分かった。本研究の結果は、過去に報告のある12GPaまでのデータに比べ2倍以上の高圧力まで観測を行い、ヘリウム固体相に対する水素の固溶量が検出限界以下であること、ラマンシフトの組成依存に関し再較正が必要なことを示した点で新しい。以上の結果は2006年度地球惑星科学関連合同大会及び、国際鉱物学会議(IMA-神戸)で報告されると共に、国際誌への投稿を準備中である。
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