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2004 年度 実績報告書

単一分子分光を用いた一個の核スピンの量子状態の観測

研究課題

研究課題/領域番号 16655003
研究機関東京工業大学

研究代表者

松下 道雄  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (80260032)

キーワード単一スピン / 量子情報 / 単一分子分光 / 共焦点顕微鏡
研究概要

固体中の単一スピンの量子状態を光で読み出すために、まず単一スピンの担い手である単一のイオンの発光を検出しなければならない。我々が候補としているのはPr^<3+>イオンである。Pr^<3+>イオンの核スピンは極低温において緩和時間が長く、ある核スピン状態でレーザーに共鳴して発光していたイオンが、核スピン状態が変化すると共鳴から外れて光らなくなることで核スピン状態がわかる。しかし、核スピン状態が変わると光らなくなるということは、極低温での発光検出が難しいことを意味する。そこで我々はスピン緩和が十分に速い室温で単一イオンの発光検出を行い、徐々に温度を下げることにした。このために室温から液体ヘリウム温度までの温度で測定できる単一分子分光装置を立ち上げた。
製作したのは、室温から4.2Kまでの温度で測定が可能な共焦点レーザー走査型蛍光顕微鏡である。クライオスタットにはOxford Instruments社製OptistatSXMを用いた。液体ヘリウム容量が4Lあり、直径が49mmのサンプルスペースをもつ。対物レンズはNA0.65の非球面単レンズでf=2.75mm、動作距離は1.56mmである。試料と対物レンズが液体ヘリウム(屈折率1.025)に浸かると焦点距離が約100μm長くなる。そのため、製作した試料ステージでは1μmの精度で焦点あわせができるようにした。試料の発光は同じ対物レンズで集められ、ビームスプリッターを通して検出器へ導かれる。検出器には単一光子検出アヴァランシェ・フォトダイオード、Perkin Elmer社製SPCM-AQR-16を用いた。検出効率は900nmで約30%、ダークカウントは約20counts/secである。組み上げた装置の空間分解能は800nm、発光の検出効率は約0.5%、検出限界はおよそ100photon/secであった。

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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