単一微粒子の温度画像計測には二波長測定が適している。その際、要の一つとなるのが画像を二分割して同一画面に納めることである。これまでに画像分割の手法として方解石結晶を用いたビームディスプレーサーと色ガラスフィルターを組み合わせた方法を検討してきたが分割した各像の相対的な歪の問題を解決することが困難でありこの方法は適さないと判断した。そこで本年度は新たにダイクロイックミラーとアルミ鏡を組み合わせた方法を試みた結果、像の歪もほとんどなく良好な特性を示すことが明らかになった。 そこで、この新しい方法を用いて二波長で測定された画像から物体の温度を導くことを念頭に置き、その検量線を引く試みを行った。より具体的には、白熱電球のフィラメントに流す電流を系統的に変化させて二波長画像を測定し、双方の画像における明るさの強度比を電流値に対してプロットした。これによりフィラメントの電流値と強度比に一意的な相関があることを確認した。 さらに、明るさの強度比を黒体温度に結びつけるために、放射温度計を用いて各電流値に対するフィラメントの温度を測定した。最終的にフィラメント温度に対して二波長画像における明るさの強度比をプロットした結果、1900℃から2800℃の間で良好な相関が得られた。 現在、温度計測および強度測定の精度を確認する作業を進めている。精度に影響を及ぼす因子としてはカメラの露光時間、ピント、絞り、発熱体の明るさ、面積、波長分割素子の反射特性、透過特性、および、その特性と感度の波長依存性のマッチングがある。これらを系統的に精査し評価することによって最適の測定条件を決定できると考えている。
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