研究課題/領域番号 |
16655010
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中井 浩巳 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00243056)
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研究分担者 |
袖山 慶太郎 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (40386610)
星野 稔 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (10409675)
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キーワード | NOMO法 / 原子核波動関数 / 非断熱理論 / ボルン・オッペンハイマー近似 / 並進運動 / 回転運動 / TRF-Hamiltonian |
研究概要 |
本研究では、我々が先に提案した電子および原子核波動関数を同時に決定するための理論、NOMO法の計算精度向上を目的とした。 (1)NOMO法の計算プログラムの整備:昨年度に引き続き、"GAMESS(US)"をもとに、計算プログラムの整備を行った。今年度は特に新たに開発した開発したTRF-NOMO/MP2やGCMもこの計算プログラムを改良して作成した。また、軌道中心の最適化(構造最適化)にも対応できるようにした。 (2)NOMO法の分光学的精度の達成:今年度は、NOMO法の計算精度に対して第2目標である分光学的精度の達成を目指した。NOMO法では、原子核の運動の中心的役割をする振動状態を効果的に記述するため、局所的なGauss型基底関数を用いて原子核の波動関数を表現している。そのため、並進および回転状態の記述が困難であり、結果として計算精度が悪くなる。昨年度は、並進・回転運動を分離するスキームを一体近似(TRF-NOMO/HF)のもとで提案した。今年度はさらに、摂動論により電子-電子、電子-核および核-核相関などの多体効果を取り込むこと(TRF-NOMO/MP2)に成功した。 (3)NOMO法を用いたプロトン・トンネリングの検討:マロンアルデヒドなどの分子では、多重井戸型ポテンシャル上をプロトンがトンネリングする現象が確認されている。通常のNOMO法では局所的なGauss関数を用いているため、トンネリングにより非局在化した状態は記述できない。そこで、生成座標法(GCM)を適用することによりこの問題を解決した。特に、プロトン・トンネリングと結合交替のカップルには、今回開発したTRF-NOMO/GCMが非常に有効であることが確かめられた。
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