研究課題/領域番号 |
16655010
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中井 浩巳 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00243056)
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研究分担者 |
星野 稔 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (10409675)
山内 佑介 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (40409678)
菊池 那明 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (00434283)
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キーワード | NOMO法 / 原子核波動数 / 非断熱理論 / ボルン・オッペンハイマー近似 / 並進運動 / 回転運動 / TRF-Hamiltonian |
研究概要 |
現在広く用いられている分子軌道(MO)法や密度汎関数理論(DFT)は、原子核と電子の運動を分離するBorn-Oppenheimer (BO)近似に基づいている。このBO近似を用いることで、ポテンシャルエネルギー曲面(PES)の概念が導かれ、分子の物性や反応性の解釈に対し大きな成果を上げてきた。しかし、非断熱遷移が起こる領域などBO近似が破綻する場合も数多く、BO近似を超えた取り扱いが必要である。また、原子核の同位体効果・量子効果を議論する場合には、原子核の波動関数は不可欠である。その場合、BO近似に基づく限りPESを予め求める必要があるが、PESの計算は原子数の増加に伴い計算コストが指数関数的に増加する。一方、本申請者が提案してきた電子および原子核の波動関数を同時に決定できる理論であるNOMO法は、BO近似を用いておらず、計算コストの急激な増加はない。また、電子と原子核のカップリング、つまり非断熱効果も考慮することができる。しかし、我々のNOMO法は、必ずしも計算精度が高くないという欠点を持っていた。そこで本研究では、NOMO法の計算精度の向上を第1の目的とした。この点については、NOMO-Hamiltonianに混入している並進・回転運動を分離することで大幅な精度向上に成功した。さらに、多体摂動法との組合せにより更なる高制度化に成功した。本研究ではさらに、NOMO法をより有用な方法へと発展させるために、構造最適化の実現、励起状態への拡張、動力学法との組み合わせ、解析手法の充実などを行った。
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