研究課題
我々は、15族元素を中心元素とするポルフィリン化合物の合成と構造の研究を行ってきたが、近年、その成果に基づき、今まで合成法が全く知られていなかった16族硫黄ポルフィリンの合成研究を開始していた。この研究を行っている際に、予想していなかった化合物として、本研究の端緒となるCH-π相互作用を有する非常に骨格のひずんだ興味深い化合物(OETPP・2CH_2Cl_2錯体)を得た。この錯体は、世界で初めて得られた16πの非芳香族性ポルフィリンであり、非常にひずんだ骨格を有していることがわかった。その成果を、今年度に論文として報告することができた。また、さらにその発展として、周辺の置換基の立体障害をより増大させたオクタイソブチルテトラフェニルポルフィリン酸化体(Oiso-BuTPP)の合成とそのX線構造解析にも成功した。また、いくつかのさらにひずんだポルフィリン骨格の合成に向けたピロールの合成にも成功し、新規オクタイソプロピルテトラフェニルポルフィリン骨格の合成にも成功しつつあるところまで到達した。当初予想した以上の成果が得られていると考えているが、更なる研究の発展として、遷移金属の導入や酸化還元電位の測定などを試み、国際的な共同研究などを通じて、あらたな機能性物質の合成に端緒を切り開きたいと考えている。今までにポルフィリン化学の研究例は膨大な数に上るが、これらの酸化体の単離は世界初の成果であり、性質や反応性などを解明していくことにより、新たな分野の開拓につながるものと期待している。
すべて 2006 2005
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