研究課題/領域番号 |
16655044
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
平尾 明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00111659)
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研究分担者 |
杉山 賢次 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (20282840)
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キーワード | 樹木状分岐ポリマー / リビングアニオン重合 / ベンジルブロミド化PMMA / α-官能基化ポリマー / 第七世代分岐ポリマー |
研究概要 |
ベンジルブロミドに変換可能な官能基を有するアニオン開始剤を分子設計して合成し、メチルメタクリレート(MMA)のリビングアニオン重合を行い、さらに官能基変換反応により、鎖の開始末端に2個のベンジルブロミドを有するポリメチルメタクリレート(PMMA)の合成に成功した。この末端ベンジルブロミド化PMMAと、同じ官能基化アニオン開始剤によりMMAを重合して得られたリビングPMMAを反応させることで、PMMA末端に2本のPMMA鎖を有するポリマー(第一世代)を合成する。次いで、2本のPMMA末端の官能基を再びベンジルブロミドに変換し、開始末端官能基化PMMAと反応させると、末端が2本、4本と分岐した7本鎖の樹木状PMMA(第二世代)が得られる。このようにリビングPMMAとベンジルブロミド化PMMAとのカップリング反応と官能基変換反応を繰り返すことで、第七世代の樹木状PMMAの合成に成功した。世代毎の合成が格段に難しくなるため、高世代の樹木状ポリマーの合成例は、類似の分岐構造を有するポリマーとして第三世代まで報告されているが、この場合は厳密な構造制御はされていない。従って、本研究の第七世代の樹木状PMMAは世界で初めての成功例である。得られたポリマーは、分子量は数百万に達し、508本のPMMA鎖で構成され、最外層256本のPMMAと512個の官能基を有した巨大分子である。構成されているポリマーセグメントはすべて規制された分子量分布の狭いPMMA鎖であり、厳密に制御された樹木状分岐構造を有している。 さらに構成されているPMMA鎖を、パーフルオロアルキル基やポリエーテル基を置換したPMMA誘導体に置き換えた、疎水性、疎油性、親水性を付与した機能性の樹木状ポリマーの合成にも成功した。得られたポリマーは、分子量数百万の巨大な分子であり、一分子だけで数nmの球状形態をとっている。さらに分子レベルでの相分離や自己組織化による全く新しいナノ秩序組織体が期待され、現在検討中である。
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