研究課題
β1,3グルカンが作る2重螺旋には、ピッチ1.8nmの61螺旋の溝ができる。この溝の大きさは核酸塩基を取り込むのに最適の大きさがあり、溝の奥には水素結合サイトが存在することが分かった。事実、コンピューター上で、核酸塩基をその溝に入れてみると極めて容易に包摂される。従って、核酸塩基の親水と疎水性のバランスを化学的に調整さえすれば、GMP、GDPが再構成した多糖の3重螺旋内に内包されると考える。この様に多糖内に内包された核酸を酵素反応を用いて重合すれば、極めて興味深い。上記目的で研究を開始したが、現在、かなり苦戦をしている。そこで、今年度は、多糖に取り込まれる低分子化合物の必要条件の洗い出しをおこなった。その結果、ANSやポリアニリンのようにアミノ基があるものが容易に取り込まれることが判明した。特に興味深いのは、溶液中ではキラル炭素が無いために円偏光2色性をしめさない蛍光物質ANSが、SPGと複合体を形成して、強い円偏光2色性を示すことである。この複合体の構造を計算化学から推定したところ、多糖の2位の水酸基とANSのアミノ基が水素結合を形成していることが判明した。この結果は核酸の多糖上での重合に希望をつなぐものである。有機ゲル化剤と呼ばれる一連の化合物は、自己組織化して繊維状の集合体を形成する。我々はその集合体の高次構造をX線小角散乱にて明らかにしている。この研究も、多糖内に自己組織化した核酸の構造解析に役にたつと考えている。
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