研究課題
分子磁性体のような動的で制御可能な磁気特性をより高い温度で実現するため、ナノあるいはサブミクロンスケールの磁性体開発に取り組んでいる。このためには、磁性体をより不安定な形状に追い込むことが興味深く、この理由から中空球殻形状をもつナノ磁性体の研究を遂行した。500nm程度の直径をもつビーズを水中に分散させ、液性を徐々にしかも均一に塩基性にすることによって金属水酸化物をビーズ表面に沈殿させた。この有機・無機複合物質を、水素下あるいは空気中で、か焼条件を変えることによって、コバルト系ではccp-およびhcp-CoとCo_3O_4、鉄系では・-Fe、Fe_3O_4(マグネタイト)、・-Fe_2O_3(ヘマタイト)を作り分けることができた。これらのTEM像より、直径約500nmで厚みが約40nmの中空構造を確認した。Fe_3O_4試料は、キュリーあるいはブロッキング温度が室温よりやや上の強磁性体として振舞うことが分かった。室温ではほとんどゼロの保磁力が、温度減少とともに急増する特性を示した。これは、単分子磁石の磁気特性によく似ている。さらにFe_3O_4試料について、溶媒への分散性を高めるために表面化学修飾を行った。すなわち、ニトロキシルラジカル部位を含む重合開始剤を中空球殻マグネタイトに化学吸着させ、リビングラジカル重合によって3-ビニルピリジンの重合反応を表面上で行った。そのピリジン基をN-メチル化して水への可溶性を確保した。これにより、数字間程度は安定な分散溶液をつくることができたばかりか、磁石によって微粒子を簡単に集めることもできることが分かった。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
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