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2004 年度 実績報告書

熱揺らぎに基づくリン脂質二分子膜中のイオンの輸送機構

研究課題

研究課題/領域番号 16655071
研究機関京都大学

研究代表者

中原 勝  京都大学, 化学研究所, 教授 (20025480)

研究分担者 岡村 恵美子  京都大学, 化学研究所, 助手 (00160705)
松林 伸幸  京都大学, 化学研究所, 助教授 (20281107)
キーワードリン脂質二分子膜 / 熱揺らぎ / 膜輸送 / 核磁気共鳴 / 内分泌撹乱物質 / 拡散 / イオンチャネル / 麻酔剤
研究概要

本研究では、これまでに研究例のない熱揺らぎに基づくリン脂質二分子膜(リボソーム)中の物質の輸送機構について、NMRにより分子レベルで解析した。麻酔剤、内分泌撹乱物質(環境ホルモン)、ペプチド性のイオンチャネルを取り上げ、膜中におけるこれらの物質の自己拡散係数をパルス磁場勾配NMR法により直接決定した。そのときの膜側の動きを同時観測することにも成功した。この成果は、「リン脂質二分子膜」という特殊な環境の中において分子の揺らぎや動きをそのままの状態で高感度かつ高分解能で観測するために新しく開発された、世界最大級の磁場勾配の発生をともなう拡散測定用NMRプローブを、高感度高分解能600MHz NMR装置と組み合わせることによって初めて達成されたものである。本研究により、内分泌撹乱物質が膜分子の揺らぎに同期して輸送されるという動態の特性が明らかにされた。さらに、リン脂質リポソームやミセルなどの粒子径を制御して膜表面の曲率を変化させたときに、撹乱物質の輸送がどのような影響を受けるかを系統的に考察することができた。
一般に、リポソームの粒子径が大きくなると膜表面の曲率は小さくなり、膜の揺らぎにもとづく分子の動きが抑制される。しかしながら、本研究の結果はこれに反し、粒子径を100nm以上に大きくしても膜の中の分子の動きはほとんど変わらず、依然としてかなりの流動性を保っていることが分かった。従って、細胞膜のように十分に大きな系においても、分子は熱運動によりかなり揺らいでいると考えられ、リポソームの場合と同様、本研究の解析法がそのまま適用可能である。このように、本研究の解析法ならびに得られた成果が、大きさ10μm以上といわれる実際の細胞の中で物質がどのように輸送されるかを分子レベルで理解するために非常に有効であると結論された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] NMRによる脂質二分子膜の構造・ダイナミクスと麻酔剤の取り込み・輸送2005

    • 著者名/発表者名
      岡村 恵美子, 中原 勝
    • 雑誌名

      麻酔と蘇生 41

      ページ: 21-22

  • [雑誌論文] NMR Study on the Binding of Neuropeptide Achatin-I to Phospholipid bilaver : The Equilibrium, Location. and Peptide Conformation2004

    • 著者名/発表者名
      Kimura T, Okamura E, Matubayasi N, Asami K, Nakahara M.
    • 雑誌名

      Biophysical Journal 87

      ページ: 375-385

  • [雑誌論文] Limited Slowdown of Endocrine-Disruptor Diffusion in Confined Fluid Lipid Membranes2004

    • 著者名/発表者名
      Okamura E, Wakai C, Matubayasi N, Sugiura Y, Nakahara M.
    • 雑誌名

      Physical Review Letters 93

      ページ: 248101

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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