研究課題/領域番号 |
16655072
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
小夫家 芳明 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (80026195)
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研究分担者 |
釘宮 愼一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (60183795)
佐竹 彰治 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (00277831)
小川 和也 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (50335486)
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キーワード | 二光子吸収 / ポルフィリン / 自己組織化 / アセチレン / 光線力学療法 / カップリング反応 / 癌治療 / 超分子 |
研究概要 |
16年度は大きな二光子吸収断面積を有するポルフィリン自己組織体の水溶性化を行った。当初の目標であった、これまで開発に成功した大きな二光子吸収断面積を有するビスアセチレンで連結したモノ亜鉛ビスポルフィリン超分子組織体に親水基であるカルボキシル基を導入し、水溶性化を試みた。カルボキシル基の導入方法は炭素鎖2のメチルエステルを有する側鎖を連結し、最終段階でメチルエステルを加水分解してカルボキシル基とした。プロピオン酸メチルエステルを導入した原料のエチニル-イミダゾリルポルフィリンをクロスカップリングし、モノ亜鉛化した。これをGPCで精製した後、エステルを加水分解することで目的の水溶性化合物の合成に成功した。 しかし総収率が10%程度と低いため合成戦略の変更を行った。従来はモノ亜鉛化の際にロスが生じていたため、これを改善するために亜鉛ポルフィリンとフリーベースポルフィリンを一段階でカップリングできるモノアセチレン結合を採用した。その結果、総収率を40%程度まで向上させることに成功した。合成した各化合物はNMRおよび質量分析により分子構造を決定した。水溶液中での組織化構造は可視・紫外吸収スペクトルの測定から同定した。 水溶液中での二光子吸収断面積を測定したところ従来の有機溶媒中と同程度の非常に大きな値を示した(7500〜8000GM)。 以上16年度の目標であった大きな二光子吸収断面積を有する薬剤の水溶性化に成功した。さらに収率の向上を検討した結果、従来法の4倍の収率アップに成功し合成の簡略化を行うことができた。
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