研究課題/領域番号 |
16655072
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
小夫家 芳明 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (80026195)
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研究分担者 |
釘宮 愼一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (60183795)
佐竹 彰治 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (00277831)
小川 和也 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (50335486)
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キーワード | 二光子吸収 / ポルフィリン / 自己組織化 / アセチレン / 光線力学療法 / カップリング反応 / 癌治療 / 超分子 |
研究概要 |
本年度は会合しにくい光線力学療法(PDT)用薬剤の開発を目的に、新規な水溶性二光子吸収色素の合成を行った。大きな二光子吸収断面積を獲得するためにはポルフィリン同士をアセチレンで連結することによってπ-共役系を拡張する必要がある。更に、水溶液中での会合を防ぐためにかさ高い置換基を導入することとし、アセチレンで連結したポルフィリン二量体から成る二光子吸収部位とかさ高い水溶性置換基を有する水溶性部位をイミダゾールと亜鉛の配位組織化によって合体させる方法をとった。この化合物はポルフィリン当り3つのカルボキシル基を持つため水に対する溶解度は非常に高い。 ナノ秒パルスによる二光子吸収断面積を測定したところ890nm、780nmにおいてそれぞれ33,000GMと28,000GMが得られた。テトラフェニルポルフィリンとイミダゾリル亜鉛ポルフィリン二量体は、780nmにおいてそれぞれ29GM、180GMであり、本化合物は二桁から三桁大きな値であった。またPDT活性に必要な光増感による一重項酸素の発生量を測定したところ、効率良く生成する能力を持つことがわかった。 さらに二光子励起でのPDT活性を検討した。Hela細胞(人子宮ガン)を用いて顕微鏡観察下、100fsのパルスレーザー(780nm)を用いて二光子条件(焦点のスポット径1μm、ピークパワー8.4GW/cm^2)でトータル0.6Jのエネルギーを単一細胞に照射した。本化合物とともにインキュベートした細胞ではPDT効果が認められたが、ブランクや参照化合物のヘマトポルフィリンでは細胞破壊は認められなかった。以上より、当初目標であった二光子照射条件でのPDT効果の実証に成功した。
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