研究概要 |
[1]CTQの酸化還元挙動とチオエーテル基の電子的効果 前年度において合成したキノン体に加え、セミキノンラジカル誘導体、キノール型還元体を調製し、それぞれの構造を明らかにするとともに、セミキノンラジカル誘導体についてはESRスペクトルを用いて電子の非局在化状態を検討した。得られた情報を既存のインドールキノン誘導体のものと比較検討し、4位に結合したチオエーテル官能基の電子的効果について考察を加えた。 [2]CTQによるアミンの酸化反応機構 CTQと各種アミン誘導体との反応を嫌気性条件下で検討し、反応中間体や生成物の同定を行った。さらに反応を視外可視吸収スペクトルやNMRスペクトルなどを用いて追跡し、速度論的解析を行い、反応機構の詳細を明らかにした。また、同反応を好気性条件下においても検討し、CTQを触媒とするアミンの触媒的酸化反応について検討した。CTQによるアミンの酸化反応においても既存のキノン化合物と比較検討し、インドールキノン構造の重要性やチオエーテル基の効果について考察を加えた。 [3]4位の置換基効果の解明 CTQ補欠分子の4位に結合した硫黄置換基の役割について更に詳細な知見を得るため、4位に硫黄官能基以外の置換基を導入したインドールキノン誘導体の合成を行った。具体的には、4位にアミン官能基やエーテル官能基を導入した6,7-インドール誘導体を合成し、それらの構造や物性、およびアミン酸化機能を比較検討し、4位官能基の電子的効果を明らかにした。
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