太陽電池の利用拡大は重要な課題である。最近、低コスト高性能太陽電池として「色素増感太陽電池」が発表され、次世代太陽電池として期待されるようになった。色素増感太陽電池は、多孔性酸化チタンの表面に吸着した色素からの高効率光誘起電子移動と、電解質中の酸化還元とを組合せたものであり、形状自由度の高さやカラフルな太陽電池作成も可能なことから、高付加価値太陽電池としても期待されている。しかしながら、太陽電池には本質的に光強度に依存する出力変動があり、色素増感太陽電池ではその変動が大きいことが指摘されている。このため、実際の使用形態として二次電池との組み合わせが必要である。本研究では、充放電が可能な光エネルギー貯蔵型色素増感太陽電池を開発した。まず、平成16年度は、光エネルギー貯蔵型色素増感太陽電池の基本原理を確立した。電荷蓄積電極部分には導電性高分子が最も良い特性を与えることを明らかにした。電荷蓄積電極にホールドープした導電性高分子を用いた場合には、電子は脱ドープによって蓄積される。光アノードと対極を含む部分は、低抵抗カチオン交換膜を介して電荷蓄積電極と接続する必要があることがわかった。また、電解質と溶媒についてはDSSCやカチオン交換膜の特性を損なわないように選択する必要があることがわかった。
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