研究課題/領域番号 |
16655078
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
立間 徹 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (90242247)
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研究分担者 |
高田 主岳 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20361644)
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キーワード | メカニカル電池 / エネルギー変換 / 機械・電気エネルギー / レドックスゲル / 酸化還元電位変化 / 膨潤・収縮 / 圧縮・伸張 / 内部環境変化 |
研究概要 |
本研究は酸化還元活性種を組み込んだ高分子ゲルなどを、機械的に圧縮・伸張することによって動作する、メカニカル電池の開発を目指している。動作原理は、酸化還元活性種を組み込んだ有機高分子等を圧縮することにより、膜内の親水疎水、静電的相互作用や環境などを変化させ、酸化還元電位の変化を誘起し、この系を二つ組み合わせることにより、これらの電位差を外部に取り出すものである(機械→電気エネルギー変換)。本年は、高分子ゲルの合成ならびにその物理的および電気化学的特性評価を行った。ポリアクリル酸ゲルは、溶液中のCu^<2+>イオン濃度が1x10^<-5>M以下では膨潤、1x10^<-4>M以上では収縮し、その体積比は約50であった。また、Cu^<2+>イオンを含む溶液に浸漬することにより、ゲル内にCu^<2+>イオンが濃縮され、それらは電気化学的に活性であることを明らかにした。ポリアクリル酸-銅ゲル被覆電極を用い、銅が酸化体あるいは還元体になるように電位を印可すると、ゲル膜はそれぞれ膨潤/収縮し、膜厚変化は最大で約70倍であった。これにより、機械→電気エネルギー変換と表裏の関係にある、電気→機械エネルギー変換素子として働くことを明らかにし、機械→電気エネルギー変換素子の開発への足がかりを築いた。このゲルを機械的に圧縮し、電位の変化を測定したところ、十分に大きな電位変化は観察されなかったが、銅を取り巻く環境がより大きく変化するように、圧力変化によりイオンへの解離度や吸水力が大きく変化する系を用いることにより、改善できると期待される。他にもポリ(アクリルアミド/ビニルフェロセン)ゲルやポリビニルフェロセンを用い、支持電解質濃度や圧力変化に対する電位の測定を行っているが、現在までのところ十分に大きな電位変化は観察されていない。しかしこれらも上記のように、環境を大きく変化させる系の利用により、改善が期待される。
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