研究課題/領域番号 |
16655080
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
萩原 理加 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (30237911)
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研究分担者 |
後藤 琢也 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (60296754)
野平 俊之 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (00303876)
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キーワード | 溶融塩 / イオン液体 / イオン性液体 / 燃料電池 / 高分子 / イミダゾリウム / 電解質 / 水素エネルギー |
研究概要 |
HF系室温溶融塩を電解質とした燃料電池は、プロトン伝導ではなく、フルオロハイドロジェネートイオン伝導により発電することが確認された。また、HF系室温溶融塩を電解質とした燃料電池は室温および中温(100℃)において1V以上の開路電圧を示し、電解質に水が含まれた状態でも同様の結果が得られた。白金黒電極を用いた検討では水素極では、KOH水溶液およびH_2SO_4水溶液よりもEMIm(HF)_<2.3>Fが良い特性を示し、H_2SO_4水溶液のおよそ2倍の電流値を示した。酸素極ではEMIm(HF)_<2.3>Fが、KOH水溶液には及ばないものの、H_2SO_4水溶液よりも良い電流の立ち上がりを示した。以上のことから、EMIm(HF)_<2.3>Fが燃料電池用の電解質として、きわめて有望であることが示された。しかしながら、水素極と酸素極の分極曲線の電流地を比較すると酸素極の電流地が大幅に小さいため、既存の固体高分子形燃料電池でも問題とされているのと同様に、酸素極の分極特性の改善が主要な課題となることが示された。ガス拡散電極を用いた検討では、接触角の測定から、ガス拡散電極に対してHF系室温溶融塩はKOH水溶液、H_2SO_4水溶液よりも濡れやすいということが分かった。またHF系室温溶融塩に水を加えると濡れにくくなり、さらにより撥水処理をしたガス拡散電極を用いると濡れにくくなった。ガス拡散電極は水溶液系に最適化されており、HF系室温溶融塩はガス拡散電極に対して濡れすぎていると考えられる。HF系室温溶融塩を用いた単セル試験では、白金量が0.5mg cm^<-2>でPTFEが標準量の電極を用い、水素ガスおよび酸素ガスの供給量が、ともに200ml min^<-1>の場合に0.6Vで1.3mA cm^<-2>、0.4Vで4.5mA cm^<-2>の電流が観測された。
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