研究課題/領域番号 |
16656005
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 茂雄 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (10282013)
|
研究分担者 |
中島 康治 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (60125622)
早川 吉弘 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (20250847)
小野美 武 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (70312676)
|
キーワード | 核スピン / トンネル磁気抵抗効果 / STM / 単原子リソグラフィー |
研究概要 |
昨年度から引き続いて、トンネル磁気抵抗効果と電子-核スピン相互作用を用いた単一核スピン検出理論の構築を図った。核スピンとしてはSi中のP原子を想定し、ドナー電子とP原子核との磁気的相互作用のある系を考えた。強磁場近似が成り立つような静磁場を印可した場合、この系ではそれぞれに対応する電磁波に応じて核共鳴遷移と電子スピン共鳴遷移が可能である。電子スピン共鳴では核スピンの状態に依存して共鳴周波数が変化するため、ドナー電子のスピンが共鳴しているかどうかを検出することで核スピンの状態を特定可能である。一方、強磁性薄膜を電極に使ったトンネル接合ではトンネル磁気抵抗効果によりキャリアのスピン状態によってトンネル電流が大きく変化することが知られている。したがって核スピンと結合するドナー電子をトンネル電流のキャリアとして利用することで単一核スピンの検出が可能と考えられる。スピン検出に必要なデバイスの構成要素として、1)核スピン-ドナー電子系、2)トンネル接合用絶縁膜、3)トンネル電極用強磁性薄膜、4)キャリア電子注入用電極、という4つの要素が考えられ、具体的な構造を決定するため、各種デバイスパラメータを理論解析及び数値計算によって評価した。実験面では、STMを使った核スピン検出のため、探針作製装置の改良による探針の先鋭化と、NH4Fを使ったSi表面の平坦化プロセスの改良を行った。結果はそれぞれ良好であったが、水素レジストの単原子リソグラフィー及びP原子の埋め込みには至らなかったため、スピン検出は来年度の課題となった。
|