研究課題/領域番号 |
16656008
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前田 康二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10107443)
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研究分担者 |
目良 裕 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40219960)
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キーワード | 光双安定性 / 点欠陥 / GaAs / フォトルミネッセンス / 低温成長 / 応力 / フォトクエンチ / As欠陥 |
研究概要 |
GaAs結晶中のEL2と呼ばれる点欠陥は、適当な波長の光照射に伴う双安定性を示す。低温成長したGaAs(LT-GaAs)エピタキシャル膜中に高密度に含まれるEL2の双安定性が引っ張り応力により増大するとの知見にもとづき、本研究では、結晶中に人為的に導入した応力場により高温でも双安定性を保持するEL2センターを実現することができるかどうかを確かめることを目的として実験研究を行っている。今年度は次のことを明らかにした。 (1)n型GaAs基板試料では、基板に存在するEL2由来のフォトルミネッセンス(PL)が観測されるのに対し、半絶縁性基板試料ではエピタキシャル膜からのPL(0.8eVバンド)を検出した。エピタキシャル膜から検出された0.8eVバンドはエピタキシャル膜歪みとの間に相関があり、フォトクエンチング効果を示さないEL2由来の可能性がある。またLT-GaAs試料の0.8eVバンドのPL強度は全般にバルク結晶からのPL強度に比べて非常に弱く、これはLT-GaAs試料ではフォトキャリアの寿命が短いためであると考えられる。 (2)p型GaAs基板にノンドープのLT-GaAsを600nm積んだサンプルを用い、超高真空中で劈開した断面を、STMで観察した。その結果、EL2と考えられる欠陥のSTM像は、Asのアンチサイト欠陥の理論計算像とあまり一致しないことが分かった。また、GaのVacancyなどのAsのアンチサイト以外の点欠陥も高密度に観察されることが分かった。 (3)顕微ラマン分光測定を行い、同じ試料でも場所によってEL2の密度や応力状態が大きく異なることを見出した。 また、EL2由来のPLが観測される0.5〜0.7eV付近のPLスペクトル測定を高いS/N比で行うための、ポリクロメータとマルチチャンネル型赤外検出器を用いた装置の立ち上げを行った。
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