本研究は宇宙技術として開発されたレーザーデトネーション原子ビーム源のフラックスの増大により(>10^<18>atoms/cm^2/s)、これまで不可能であった原子間結合エネルギー以上の並進エネルギーをもつ高強度超音速パルス原子ビームを創成し、表面科学・デバイスプロセス分野への新規応用展開を目指すものである。特に本申請ではイオンビームなどの荷電ビームの適用が困難な半導体材料等へのチャージアップフリー表面改質および加工(酸化除去、フッ素化)ならびに原子ビームデポジションを応用面での研究ターゲットとして設定し、超高強度原子ビームの優位性・特徴を明確化し、当該研究分野の新規創設を目指すものである。平成16年度は神戸大学に現有のレーザーデトネーション型原子ビーム源を本申請の内容に適応するように改造することが主たる研究内容である。実施した改造点としては、フラックス増大のためパルスバルブを現有のソレノイドバルブをピエゾバルブに変更すること、ならびにレーザーパワーの増大がビームフラックス増加に有用であると判断されたため、現有のレーザーシステムのシリンドリカルレンズモジュールならびに高圧電源ユニット等を交換し、レーザーパワーの高エネルギー化を図った。これらの改造の結果、レーザーパワーは約20%の増加が確認され、水晶振動子マイクロバランス(QCM)により測定した原子ビームフラックスはピーク値で10^<19>atoms cm^<-1>s^<-1>に達することが明らかとなった。これにより当初予定していた反応性高強度超音速原子ビームの発生を確認できた。現在、デポジションの可能な原子ビームシステムを構築中であり、当初の予定どおり次年度には反応性高強度超音速原子ビームによる成膜、エッチング、結晶成長等の特性を明らかにできるものと思われる。
|