研究概要 |
本研究では,熱放射スペクトルの制御を行うことにより,より高効率な熱利用システムを構築するために,次の3点の研究を行う.Maxwell方程式の厳密解を求めるシミュレーションコードにより、各システムに最適な微細構造の決定を行う。可視領域の輻射スペクトルを選択的に放射する表面ナノ構造体を高融点金属に作製するためのプロセス研究を行う。作製したナノ構造エミッタの熱・光学特性を評価し、機能性発現原理と応用について考察する 本年度は,以下の項目について研究を行った。 1.現有のフーリエ赤外分光器に,既存の真空チャンバを組み合わせ、試料の熱放射スペクトルの絶対値を測定する測定装置を設計、製作した。この装置により,0.9ミクロンから10ミクロン程度の波長領域で熱放射の絶対値が測定できるようになった。 2.表面回折格子を高融点金属に製作するプロセスを確立する。パターニング技術としては電子線描画装置と反応性イオンエッチング(現有)により周期1ミクロン程度の回折格子を作成した。基板材料としては単結晶および多結晶タングステンを用いた。 3.光学定数が複雑な分散関係を示す材料に適応可能な、FDTDプログラムコードを開発した。各種パラメータを変化させて解析を行い,共鳴効果に与える影響を定量的に解析する目処を得た。現有しているRCWAプログラムと併用することにより,近接場領域から,遠隔場での電磁界の挙動をシミュレートすることが可能となった。
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