研究課題/領域番号 |
16656022
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山下 真司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (40239968)
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研究分担者 |
丸山 茂夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90209700)
SET SZEYUN 株式会社アルネアラボラトリ, 代表取締役社長
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キーワード | カーボンナノチューブ / 光ファイバレーザ / モード同期 / 可飽和吸収 / 光短パルス発生 |
研究概要 |
本研究は、カーボンナノチューブ(CNT)の可飽和吸収特性を利用して、さまざまな分野で利用できる新しい、かつ低コストな短波長短パルスモード同期レーザの研究を行うものである。我々の従来の研究では波長が1.55μm帯(Cバンド)の結果であったが、単層カーボンナノチューブは動作波長をチューブ径により変えることができる。実際のサンプルはいくつかの種類の単層カーボンナノチューブが混ざっているため、サンプルによっては光吸収に大きな広がりをもつ。このため、1.55μm帯(Cバンド)だけでなく、1.6μm帯(Lバンド)や1.48μm帯(Sバンド)でもモード同期光ファイバレーザを構成できることを示した。さらに、波長1.3μmで利得をもつプラセオジウム(Pr)ドープ光ファイバを用いた1.3μm帯モード同期光ファイバレーザ、波長1μmで利得をもつイッテルビウム(Yb)ドープ光ファイバを用いた1μm帯モード同期光ファイバレーザも実現している。 1μm帯モード同期イッテルビウムドープ光ファイバレーザでは、1.5μm帯のエルビウムドープ光ファイバに代えて、1μm帯で利得をもつイッテルビウムドープ光ファイバを用いている。可飽和吸収素子としては、光ファイバコネクタ端面にスプレーコーティングした単層カーボンナノチューブを透過型の形で用いている。1μm帯では、通常の単一モード光ファイバが大きな負の波長分散を持つため、共振器中でパルスが広がってしまう。これを補償するため、この波長帯で正の分散をもつ回折格子ペアとプリズムを用いている。出力スペクトルと自己相関波形の測定の結果、繰り返し周波数約23MHz、光スペクトル幅は約7.5nmで、自己相関波形から計算されるパルス幅は約180fsであり、時間・帯域積は約0.35とほぼトランスフォームリミットの超短パルスが生成できていることがわかった。
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