研究課題
マクロレベルの手法として、異方性弾性力学に立脚した異方性異種材界面き裂の応力拡大係数を用いた界面強度評価手法を開発し、MEMS(Micro Electro-Mechanical Systems)に頻繁に使用される陽極接合の接合部等のはく離強度を測定して、その支配パラメータの同定を行う。一方、ナノレベルの手法としては分子動力学法を用いて、異方性異種材界面端でのき裂発生機構の解明を行う。このようにマクロとナノレベルの両面のアプローチを用いて、MEMSといった微小デバイスを対象とした「マルチスケール異方性異種材の界面力学」という新しい研究分野の創出につなげることを目的とする。以上のような研究目的のもとで今年度は下記のような研究を行った。(1)異方性異種材応力拡大係数の解析に関しては、昨年度開発した手法を3次元体中のき裂の解析に適用できるように拡張し、異方性異種材中の表面き裂の応力拡大係数解析を実施した。(2)陽極接合装置を用いて、Siとソーダ石灰ガラスが円形に部分接合された試験片を用いて、熱応力負荷によるはく離試験を実施し、(1)で開発し応力拡大係数解析プログラムによりはくり強度を定量的に評価した。(3)昨年度に引き続きミクロレベルの解析として分子動力学法により疲労の初期過程の解析を行った。昨年度の解析よりも時間軸方向に長い時間解析を行い、疲労き裂の初期過程を一層明確にすることができた。(4)今年度は異種材接合部の微細領域のひずみ測定手法の開発を新たに行った。これは、顕微鏡により取得された画像にデジタル相関法を適用することによりひずみを求める手法である。このような接合端部の微細領域の計測ひずみはその強度評価に有益な情報を与える。
すべて 2005
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Proceedings of 11th International Conference on Fracture
ページ: Paper No.3314
Proceedings EMAP 2005, 2005 International Symposium on Electronics Materials and Packaging
ページ: 83-87