研究概要 |
本申請研究は,原理的に光エネルギー局在特性を有しているエバネッセント光(局在フォトン)と生産性に優れ工業的価値の高い一括面露光型光造形法を融合することによって,200nm程度の最小硬化単位を有しつつ,mmスケールまでの造形物サイズを創成可能な,全く新しいナノ光造形法の確立を目的としたものである.交付希望期間内において(1)樹脂硬化・時間軸シミュレーション技術(2)露光エバネッセント光強度分布変調制御技術(3)規制露光面からの硬化樹脂剥離・極薄積層技術(4)樹脂硬化過程のインプロセス計測・フィードバック制御技術,から成る具体的な技術課題を達成し,新しいナノ構造創成技術の確立を目指しており,平成16年度は,以下の三大要素技術を確立した. ●樹脂硬化・時間軸シミュレータの構築(高橋哲担当) MAXWELLの電磁場方程式に基づいたFDTDシミュレータを計算機内に構築し,電磁場計算を繰り返すことのより,時間軸による樹脂硬化過程を時間的に調査した. ●露光エバネッセント光強度分布変調制御法の確立(高橋哲担当) エバネッセント光強度分布横方向分布の変調制御技術,および入射光臨界角制御によるエバネッセント光強度縦方向局在量の制御法を理論的に検討し,形状縦横分解能として,150nmの実現が可能であることが分かった. ●極薄露光層への連続樹脂供給・硬化樹脂剥離技術の確立(高増潔担当) 高屈折率プリズムを規制露光面に配置したエバネッセント樹脂露光光学系を構築し,サブミクロンの積層単位厚さ(厚さ200nm)を実現した.また,極薄露光層への連続樹脂供給技術,および規制露光面からの硬化樹脂剥離技術から成る,極薄硬化樹脂積層剥離を行い,5層からなる造形を実験的に実現した.
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