研究概要 |
本研究では、工具に放物線状の超音波振動を付加して切削する方法(放物線振動切削加工法と呼ぶ)を提案した。本手法では、引き切りの効果が最大となる中立点付近のみで切削を行い、刃先方向振動の上下死点では切りくずから離れる間欠的な切削を行うため、引き切りによる切削力の大幅な減少、往復の引き切りによる刃先方向分力の相殺、間欠的な切削による切削力の時間平均値の減少によって、切削力がゼロに近くなる。ここでは、まず従来にはない放物線軌跡の超音波振動装置を設計・開発し、実際に放物線振動切削加工を試みた。具体的には,以下の研究を行った. (1)低周波振動を利用した放物線振動切削装置の開発 本手法の基本的な特性を確認するため、まずアクチュエータ型の積層圧電素子を利用して放物線軌跡を有する振動切削装置を試作した。 (2)ねじり振動と縦振動を利用した放物線振動切削装置の開発 約20kHzのねじり振動と約40kHzの縦振動を利用して円筒面内での放物線振動を得る装置を設計・試作した。基本的な設計を行うための簡易的な解析ソフトウェアを開発し、最終的には有限要素法解析により詳細な寸法等を決定して試作を行った。 (3)放物線振動切削加工の試みと評価 上記で開発した2種類の振動切削装置を2chの発信器とアンプによって駆動し、放物線振動が得られることを確認した。さらに、現有の工作機械に搭載して加工実験を行い、実際に本手法によって大幅に切削力が低下することなどを確認した。
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