研究概要 |
本研究では,微小振幅の振動場において軟骨細胞の培養実験を行い,その結果をもとに軟骨細胞の力学モデルを構築することを目的としている.細胞は一般に数十ミクロン程度の大きさで機械構造物と比較して極めて微小であるが,内部には多様な機能を有する多くの器官を含んでおり,それらが生存を目的として相互に作用する大規模なシステムとして捉えることができる.本研究ではその考え方を基本として,細胞の動的な力学モデルを求めることで,従来は生化学的な特性に偏りがちであったこの分野の研究に新たな視点を与えることを目指している. 平成16年度には,セルサイクルが確立されているHeLa細胞株,およびMC3T3-E1というマウスの骨由来細胞株を対象として,振動場下での細胞培養実験を実施し,振動振幅一定の条件で周波数を変化させて実験を行い,その範囲内で最も影響のある周波数帯は約100ヘルツであることを特定した.振動は細胞の大きさ程度の振幅を基準に電磁加振器により正弦波を与えた.現在100ヘルツのもつ意味について機械力学的考察を加えている.さらに,既存の生物顕微鏡設置可能なマイクロマニピュレーターを購入し,細胞壁の静的および動的特性に関する検討を行った.
|