研究課題/領域番号 |
16656078
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
江 鐘偉 山口大学, 工学部, 教授 (60225357)
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研究分担者 |
吉本 誠 山口大学, 工学部, 助教授 (80322246)
渡辺 哲陽 山口大学, 工学部, 助手 (80363125)
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キーワード | リポソーム / 高分子ゲル / 圧電振動子 / 超音波照射 / 計測・評価 / 放出・透過特性 / ゲルの親水性 |
研究概要 |
本研究では,脂質2分子膜からなる微細な閉鎖小胞であるリポソームに超音波を照射し、その構造特性を計測評価する新しい方法、さらに超音波振動の駆動方法とリポソームの放出・透過特性の関係を明らかにすることを目指している。本年度の研究進捗状況を要約すると次のとおりである。 (1)蛍光剤または酵素を封入したリポソーム、サイズが50nm〜200nmまでの種々のリポソーム、コレストロルなどを用いた結合強度の異なるリポポソームなどを調製した。さらに、リポソームの形状を電子顕微鏡で観察したところ、うまくできたものとそうでないものがあり、リポソームの調製技術を再検討する必要がある。 (2)リポソームに超音波を照射するためにセラミック圧電素子を石英ガラスセルに取り付けた超音波放射容器を設計・試作し、さらにインピーダンスアナライザーとレーザー変位計によりその動作特性を確認した。 (3)調整した各種のリポソーム溶液を超音波照射セルに注入し、圧電素子への印加電圧ならびに周波数を変化させながら超音波をリポソームに照射する。超音波エネルギーを受け取ったリポソームに封入された蛍光剤と酵素の変化量をUV分光光度計などで計測し、リポソームの放出または透過特性を調べた。蛍光剤を封入したリポソームの場合は、超音波を照射すると蛍光強度が高くなり、リポソーム膜が超音波による影響を受けたことが確認できた。また、酵素封入リポソームについても、超音波照射直後に酵素の活性が高くなる傾向が見られた。超音波照射を受けたリポソームの変化メカニズムについて依然不明な点が多く、今後引き続き検討を行う。 (4)温度応答性高分子ゲルの親水性特性の測定に、従来電子天秤が用いられている。その場合、計測精度やリアルタイム測定が問題となる。本研究では、圧電素子を取り付けたカンチレバートランスデューサを試作し、高分子ゲルの親水性が温度により変化する温度応答性をリアルタイムかつ高精度に計測する新しい計測方法を提案し、さらに実験よりその有効性を検証した。
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