研究概要 |
今年度の科学研究費助成により,ホログラフィック偏光干渉顕微鏡に用いるための,デュアルタイプホログラムの開発を行い,下記に挙げるいくつかの成果を得ることができた。 フォトンモード色素である,スピロピラン誘導体を各種ポリマにドープすることで,高感度なホログラフィック光メモリを開発した。この色素は紫外光によって容易に構造異性することでも知られており,フォトンモード色素として非常に有望である.近年,近紫外領域でのハイパワーLEDが市販され,これまでのような紫外光ランプを使用することなく,コンパクトな紫外光アドレス型のホログラフィックメモリが構成できる.今年度は,紫外光照射量に応じて,スピロピラン型とフォトメロシアニン型の分子数比を制御し,内部非線形感受率の大きさを等価的にコントロールする光アドレス技術の研究を中心に行った.十分に低い光強度でも高い非線形光学性を発現できることが分かった.同色素をフォトレジストや光誘起凹凸変化型のフォトポリマにドープして,非線形感受率によるリアルタイム性とレジストやポリマによる光メモリ性を生かした,ホログラフィック顕微鏡の設計を行うことも今後の課題である.解像度の点でも生体顕微計測への応用に十分適するものと考えられる.加えて,この媒体はホログラムメモリのみならず3次元光メモリやファイバセンサ等への応用も期待でき,との附帯的な成果についてもいくつかの論文誌へ掲載された。 次年度は凹凸形成型のデュアルホログラフィック光メモリを利用して,実時間画像と記録画像との差分ベクトルを検出する偏光干渉顕微鏡を構築し,顕微鏡の有用性を調べる。
|