(1)トランス構造の検討:(1)高速鉄道に用いるための各種条件を検討した。特に、ギャップ長さは1cm程度が適切であると仮定した。(2)次に、磁気結合がもっとも大きくなるような巻き線の配置を検討した結果、U字型のコアをつき合わせて配置し、かつ、巻き線をなるべく近づけて巻く構造が最適であることが、理論解析、実験および、JMAGによる数値解析の結果、明らかになった。(3)実験装置は、想定される実機の10分の1サイズのモデルを用いて実験を進めることにした。つまり、ギャップ長1mm場合の最適な巻き線配置を、結合係数を高め、かつ、巻数を少なくする方針で実験を行い、検討し、トランス構造と巻き方を決定した。ギャップ1mmでも結合係数0.7程度が確認された。 (2)電力伝達の検討:(1)1次側と2次側のトランスの長さが等しい場合について、電源周波数および力率を変化させ、最適な周波数と力率を求めた。その結果、約10kHz、力率1の時に電力伝送効率約75%が得られた。(2)2次側の長さを長くしたときの特性を検討した結果、漏れインダクタンスは単調に増加するが、励磁インダクタンスは一定であるが、実験およびJMAGシミュレーションより確認された。従って、1次側で力率を改善すれば、2次側が長くなっても一定の電力は伝送できると予想される。(3)ケーススタディとして、1000kwの伝送のトランスの大きさを検討した。 (3)2次側の位置を制御するサーボの実験装置の構築:(1)ボールねじと直動機構を組み合わせてサーボモータで位置制御する2次側の機構部分を設計し、実験装置を構築し、基礎的な実験を行った。ただし、1次側の回転部分は来年度設計する。(2)また、2慣性系をモデル化したシミュレーションを行い、ギャップの変動を外乱とみなるロバスト制御を提案し、良好な結果が得られた。
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