(1)実験装置の構造の検討:(1)高速鉄道に用いることを想定した各種条件を検討した。特に、実験機は5分の1モデルとした。ギャップ長は1cm程度が適切であると仮定したので、2mmの実験装置となる。(2)次に、U字型のコアをつき合わせて配置し、かつ、巻き線をなるべく近づけて巻く構造の磁気結合が最適であることが、理論解析、実験および、JMAGによる数値解析の結果、明らかになったので、この結果に従って、装置を設計した。(3)実験装置は、回転する円盤の上に、U字型コアを並べて、さらのその上に、固定した台から吊り下げたU字コアの位置を制御する方式とした。回転盤への電力の伝送はスリップリングによるものとした。 (2)電力伝達の検討:(1)1次側と2次側のトランスの長さが等しい場合について、電源周波数および力率を変化させ、最適な周波数と力率を求めた。昨年度の結果を元に、さらに、2次側にも直列のキャパシタを挿入すると、約10kHzの周波数で、力率1の時に電力伝送効率が約5%向上して、約80%が得られた。 (3)2次側の位置を制御するサーボの実験装置の構築:(1)ボールねじと直動機構を組み合わせてサーボモータで位置制御する2次側の機構部分を設計し、実験装置を構築し、基礎的な実験を行った。(2)外乱オブザーバを用いたロバスト制御系を組んで、ギャップ変動時の追従実験を行った結果、約1秒でギャップ変動を抑えることが確認できた。(3)ギャップ変動時の電力伝送実験を行った結果、ギャップ制御により、ギャップ長が2mmに戻る約1秒間は電力伝送が低下するが、その後は電力伝送が回復する特性が得られた。 (4)コアが回転する実験装置を用いて、ギャップ変動時の電力伝達の実験は、回転装置の完成が遅れて間に合わなかった。
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