研究課題/領域番号 |
16656098
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
藤村 紀文 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (50199361)
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研究分担者 |
芦田 淳 大阪府立大学, 工学研究科, 講師 (60231908)
吉村 武 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (30405344)
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キーワード | 非鉛系圧電体 / Bi(Fe_xAl_<1-x>O_3 / エピタキシャル薄膜 / PLD法 / 正方晶歪 / 電界誘起層転移 |
研究概要 |
微小電気機械システム(MEMS)に用いる非鉛系圧電薄膜として、菱面体構造を有し良好な強誘電特性が報告されているBiFeO_3に、正方晶構造が予想されるBiAlO_3を固溶させることで、モルフォトロピック相境界(MPB)を有する新規なBi系強誘電体の開発を試みた。酸化物基板上にエピタキシャル成長させることによって薄膜の方位を制御し、「電界誘起相転移」によって生じる巨大圧電応答が出現する組成、結晶方位を明らかにすることが当初の目的であった。 製膜温度の低温化による薄膜からのBiの再蒸発の防止やターゲットの焼結密度の向上などを行った結果、Feサイトを20%までAlと置換したBi(FexAll-x)O_3薄膜の作製に成功した。さらに当初の目的通り、菱面体晶の正方晶の濃度相境界が存在することを確認した。この結果はJpnJ.Appl.Phys.43,6609(2004)において報告した。 しかしながら、薄膜のリーク電流が大きく、電界誘起層転移を発現させるに充分な電界を印加することができなかった。そこでいくつかの製膜条件の最適化を行った。酸素欠損量を低減させる必要があると考え製膜中の飛散粒子の状態を発光分光分析し、酸素活性種の量が増大する製膜条件を見出した。また、表面平坦性を向上させるため、成長初期過程の観察や下部電極の検討を行った。最終的にRMS表面粗さを0.5nm程度まで減少させることに成功した。しかし、表面平坦性が向上した膜では結晶構造がBiFeO_3においても正方晶となり、電界誘起層転移を発現させるための要件を満たさなくなった。 基板の選択によってAl無添加BiFeO_3薄膜の結晶構造を変化させる必要があるものと考えられる。 その他本研究では、リーク電流を低減させる方法として血のFeサイトへの置換を検討した。酸素欠損量の多い薄膜では、Mnの置換によりリーク電流が低減することを明らかにし、リーク電流に及ぼすMn置換効果について知見を得ることができた。
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