研究課題
本研究では、重合の際に体積変化を生じないような新規透明高分子を開発し、ソフトリソグラフィ法によって生物が有するナノメートル構造を精密パターン転写することにより、新規な光デバイス作製分野に利用できるような基盤技術を開発することを目的とする。成形加工等において体積変化を生じさせないような、新規レプリカ高分子を用いる。シアナートエステルは3量化反応により重合し、重合が進むにつれて体積収縮→体積膨張するという特性を有する樹脂であり、予め部分重合させたシアナートエステル樹脂をソフトリソグラフィに用い、重合過程で膨張と収縮がキャンセルされ、重合後に体積変化がゼロとなる特長を有する樹脂を実現することができる。昨年度は、シアナート樹脂モノマーを合成・熱硬化させることにより、樹脂材料としての特性を評価し、本樹脂は重合により200℃以上の耐熱性を有するため、実際のデバイス応用にも向いていることを見いだした。本年度はさらに透明性を高めるため、シアナート樹脂のC-H結合の一部をC-F結合に置換したフッ素化シアナート樹脂を用いてポリシアヌレートを合成した。また、ソフトリソグラフィ技術の一種であるマイクロトランスファモールディングを用いて、パターン作製を行った。転写評価の基礎実験として、光導波路パターンをオリジナルマスタとし、それにナノ形成用に調整したシリコーン樹脂をコートして樹脂にパターンを転写したものをスタンパとする。スタンパを用いて光硬化性樹脂に光重合させながらスタンパパターンを転写することにより、光導波路のレプリカを簡便に作製することが出来た。本研究で得られた材料およびレプリカ作製法の成果は、今後のナノ光学デバイスへ作製への応用に展開できる。
すべて 2006 2005
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