研究課題/領域番号 |
16656106
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
田部 道晴 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (80262799)
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研究分担者 |
池田 浩也 静岡大学, 電子工学研究所, 助教授 (00262882)
石川 靖彦 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (60303541)
前田 正彦 金沢工業大学, 工学部, 教授 (50329372)
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キーワード | シリコン / 単電子デバイス / 単一イオンの検出 |
研究概要 |
本研究は、電子1個1個のトンネリングを制御したSi単電子デバイスに可動性イオンを導入し、電流振動特性の変化から単一イオンの空間的動きを検出することを目的とする。 16年度は、(1)ゾルゲル法によるLiドープSiO_2膜の形成条件を確立し、(2)プラズマCVDSiN層のLiに対する拡散阻止能を調べるとともに、(3)KFMによって試料表面の電位を測定し、これと膜中のLiイオン濃度との関連を調べること、を目的として研究を行った。成果の概要は、以下のとおりである。 (1)LiドープSiO_2膜は、TEOS,エタノール、リチウムナイトレート、硝酸、を組み合わせて、均一で再現性のある膜生成プロセスを確立できた。また、この試料の深さ方向の元素分析をXPSにより行った。SiO_2/Si構造では、Liは大部分Si基板に拡散して散逸し、SiO_2表面にわずかに偏析するだけであることが判明した。 (2)Naイオンに対して拡散阻止能があることが知られているプラズマCVDSiN膜を、LiドープSiO_2とSi基板の間に挿入し、Liに対する拡散阻止能を調べた。その結果、SiN膜を800℃程度でアニールすることにより、LiをSiO_2層に閉じ込めることが可能となり、拡散ストッパー層として働くことが判明した。 (3)KFMによる表面電位の測定は、原理的には試料内部の帯電電荷を反映するはずであり、Liイオンの検出に有効と思われる。測定結果は、かなりのばらつきを伴うが、SiN膜に元々含まれるHイオンと、ドープされたLiイオンの両者が試料電位をプラス側にシフトさせる傾向があることが明らかとなった。 以上、概ね当初の計画通り進展したと考えている。
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