研究課題/領域番号 |
16656106
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
田部 道晴 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (80262799)
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研究分担者 |
池田 浩也 静岡大学, 電子工学研究所, 助教授 (00262882)
石川 靖彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60303541)
前田 正彦 金沢工業大学, 工学部, 教授 (50329372)
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キーワード | シリコン / 単電子デバイス / 単一イオンの検出 |
研究概要 |
本研究は、電子1個1個のトンネリングを制御したシリコン単電子デバイスに可動性イオンを導入し、電流振動特性の変化から単一イオンの空間的動きを検出することを目的としている。 そのためには、可動性イオンが偏析しやすい構造を単電子FETの側に用意する必要がある。17年度は、2枚の(100)SOI層をわずかに面内角度をずらせて貼り合わせ、これによって形成されるらせん転位網を内包したいわゆるバイクリスタル構造のTEM観察とバイクリスタルFETのI_d-V_g特性を詳しく調べた。その主な結果は以下のとおりである。 2つの薄いSOI層を貼り合わせた構造は、平面TEM像では全面にらせん転位網によるメッシュ構造が観察され、その周期は予測どおり、概ね面内のずれ角に逆比例した値となった。また、転位網をチャネル領域に内包したバイクリスタルFETのI_d-V_g特性においては、電流の立ち上がり領域で電流振動が見られ、その振る舞いの解析からこれが単電子トンネル特性であることを明らかにした(Appl.Phys.Lett.(2006))。さらに、貼り合わせ界面の位置によって転位網チャネルのしきい値電圧が変化することを見出した。このように人為的に転位網を導入して単電子特性を得ることができたことは、世界的にみても初めてのことであり、可動イオンを導入する準備が整った。 また、Liイオン導入後、XPSでその深さ方向分布を測定する必要があるが、上記バイクリスタル層が20nm/20nmと薄いため、これに適したスパッタレートの調整を行い測定の準備を整えた。
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