研究課題
生物発生システムでは、多くの場合、各々の「対等な関係の細胞」の相互の情報交換により全体の自己組織化と再生が実現される。本研究はこの発生システムを単純化し、人工生命的な自己修復する新規工学システムの実現を図った。具体的には、複数の制御系と制御対象が連結して全体が成立つシステムで、どの制御系が故障あるいは破壊された場合でも、どの制御系にも成りうる「幹細胞的制御系」を導入することで、全体機能が自己修復するシステムをモデル化し、その実装を行った。前年度までの結果を発展させ、制御系3個、幹細胞的制御系2個、リモートI/O3個、制御対象ロボットアーム3個からなるシステムで、自動修復系の実装とその実行動作の安定性を検証を行った。このシステムの特徴は、システムを上位から監視・制御するエージェントを設けず、各エージェントは「対等」な情報交換をする点にある。その為に、I/Oノード、Control(C)ノード、Stem(S,幹細胞)ノードを設定し、それぞれの間で、「Link情報」、「制御信号」、「制御要求」の情報交換を行う。あるCノードからの「Link情報」や「制御信号」が一定間隔以上途絶した時に、SノードがそのCノードは停止したと判断し、どのSノードがそのCノードの代替となるべきかが決定した後、そのSノードはCノードとして機能を開始し、途絶した所から制御信号の再送信を開始する。これらによりシステムの自己修復が行われる。制御信号を送出する間隔やSノードがCノードからの制御信号送出断を検知する基準値を変化させ、UDPパケットのI/Oノードへの到達時間間隔を計測した結果、全ての組み合で大部分のパケットは問題ない時間間隔で到達することも示された。数多くのCノード停止実験より、システム中にSノードが存在するかぎり、Cノードをどの順番に停止させた場合でも、Sノードからそれぞれの当該Cノードへの切り替えが実行され、各ロボットアームの動作が保証される結果が得られた。今後は大規模化への対応の為にシステム仕様に種々の変更を加える予定である。
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先端的計算基盤システムシンポジウム(SACSIS)2006論文集,情報処理学会シンポジウムシリーズ Vol.2006,No.5
ページ: 215-216
平成18年電気学会 電子・情報・システム部門大会講演論文集
ページ: 1036-1041