研究概要 |
X線CTの為の測定工学系構築から着手し、現有の放射線測定計の装置を改造した。構築した装置は90keVのマイクロフォーカスX線源とエネルギー弁別型のX線ライン状イメージングデバイスの間に、現有のXYZステージに回転ステージを追加してX線CTの基本的な撮像ができるようにした。このとき、放射線防御実験箱を改造し、所望の位置にX線源をおくことができるようにし、また前置増幅器を内蔵した。一方、CT像計測はこれまでの被写体の直線移動から、回転ステージと連動するようソフトウェアを変更・構築し、マルチディスプレイを用いて測定制御と基本計測表示が可能なシステムを構築した。 測定されたサイノグラムからのCT画像再構成には基本的なフィルター補正逆投影法とファンビーム補正を用いて一次元スライスからの再構成を試み、USBメモリや文具等の小型の工業製品や木の実などの撮像実験を行った。この結果、1スライスあたり2,3分で高いS/N比と解像度を持った像を再構成できた。これは、入力に対する高い直線性を示すフォトンカウンティング型のイメージングデバイスのよい特性を生かすことができた結果である。吸収係数と厚みを分離しにくい透過吸収像に比べ、CTはこれらを独立して演算することができるためエネルギー弁別像の構成にはより適していると考えられる。現在は、エネルギー弁別を検討中であるが、その第一歩としてこれまで処理速度の点でS/N比のよい画像再構成は不可能であると考えられていたフォトンカウンティング法を実際にCTに適用することを実証し、その特性が素性のよいことが明らかとなった。
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