研究概要 |
本年度の検討の結果,以下の知見が得られた. 1 カルシウム溶脱促進手法に電気化学的促進試験を用い,かつ,これと拡散試験を組合わせることで,促進期間を実時間に換算できるカルシウム溶脱に対する実験的予測手法を構築した.本手法は,「ある促進期間で促進溶脱させたカルシウム量は,実際の現象においては促進期間前後の拡散試験で得られた拡散カルシウム溶脱速度の平均速度で溶脱すると仮定し,促進期間を実期間に換算するものである.また,本方法を用いることにより以下の知見が得られた. 〓上記の方法を用いることにより,カルシウム溶脱に対する抵抗性を向上させる方法として,(1)エーライトを多く含むセメントを用いること,(2)混和材を用いること,(3)養生期間を十分に設けることが有効であることが確認された. 〓セメント種類や混和材種類によらず,Ca溶脱後のビッカース硬さとCa/Siモル比は直線関係にあることが確認された. 2 コンクリート供試体中での塩害および中性化による鉄筋の腐食速度の温度依存性に関して評価した結果,本論文の範囲内(周辺温度20℃〜40℃,湿度55%)では,温度の上昇に伴い,鉄筋の腐食速度が速くなることが確認された.また,鉄筋の腐食速度と温度の関係は見かけ上アレニウスの式に従うことが確認された.その結果,コンクリート中鉄筋の腐食に対する見掛けの活性化エネルギーを算出することができた. 3 温度の上昇に伴い,塩化物イオンの浸透,中性化の進行および酸素の透過量は速くなることが確認された.また,上記は見かけ上アレニウス式に従うことが確認された.
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