研究概要 |
界面活性剤によってコンクリートがどのように劣化するのか確認するため,一般に家庭用で歯磨発泡剤、自動車洗浄剤等に使用されているラウリル硫酸ナトリウム(陰イオン),洗濯,住宅用洗剤等に使用されている直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸(陰イオン),石鹸,シャンプー等に使用されているポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(陰イオン),液体洗剤に使用されているジメチルラウリルアミンオキサイド(両イオン),台所用洗剤に使用されているポリオキシエチレンラウリルエーテル(非イオン)の5種類を使用してコンクリートの浸漬実験を行った.界面活性剤濃度は55ppm,1%,5%,10%,15%および20%を使用し,溶液ごとにコンクリート供試体(φ100mm)を3体浸漬させ,30日間,質量の変化および形状寸法,目視観察を行った.その結果、陰イオン系界面活性剤に浸漬させた供試体のみに質量の減少がみられ、非イオンと両イオンの界活性剤面においては質量減少の傾向は見られなかった。陰イオン系界面活性剤は、濃度が高い程、コンクリートの質量減少の傾向も大きくなり、その中でも直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸が最も質量減少が大きかった。陰イオン系界面活性剤水溶液中にコンクリート供試体を浸潰した場合、透明であったその水溶液は全て白く濁り、供試体表面には白い物質が析出した。その析出量は、界面活性剤濃度が高い程、多く析出する傾向が見られた。それらの解析を行った結果、白く濁った溶液からはカルシウムイオンが、析出物からは炭酸カルシウムがそれぞれ検出された。この結果から、コンクリート供試体は、界面活性剤の影響により脱カルシウム化現象が起きたものと考えられる。本実験結果では、特に直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸に劣化の傾向がみられたが、これは強酸のため、酸による劣化の可能性もあったことから、今後、pHを中性にした場合の実験を行う予定である。
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