研究概要 |
平成14年より実施されたインターネットITS名古屋実証実験から得られたプローブタクシー1500台のデータを用いて,動的経路誘導システムのプロトタイプを開発した. 具体的には,まず,研究代表者らが開発したマップマッチングアルゴリズムを用いて,プローブカーから得られる離散的な位置座標データをデジタルロードマップ(DRM)上の連続的な経路データに変換した. 次に,経路データから各リンクの通過所要時間を算出し,その時間変動パターンをもとにデータマイニング技術により最適な時間帯区分を決定した曜日別時間帯別リンク所要時間テーブルを作成した.また,リアルタイム交通情報として最も普及しているVICSデータにも着目し,両データの特性を比較した上で,両者を補完的に利用する方法論を開発し,所要時間テーブルの改良を行った. 作成した蓄積所要時間テーブルは,過去の所要時間変動パターンを表すものの,リアルタイムの交通状態を反映してはいない.そこで,時系列モデルの一つであるARモデルを用いて,リアルタイムのプローブカーデータにより蓄積所要時間テーブルを補正する方法を開発した. さらには,時間帯毎に変化するリンク所要時間に対応した最短経路探索アルゴリズムを開発し,それらを統合した動的経路誘導システム「PRONAVI」の試作機を作成し,ITS世界会議にてデモンストレーションを行った.PRONAVIは,リアルタイムのVICSデータや鉄道の時刻表データも搭載した統合型マルチモーダル情報提供システムであり,PCや携帯電話からインターネットを介してセンターに問い合わせ,最短経路を含む各種情報が取得可能である. 上記に加えて,次年度に開発予定である道路交通シミュレータに組み込む経路選択モデルの検討や,蓄積情報から走行軌跡の類似した旅行時間情報を抽出する手法の開発,プローブカーからの効率的な通信頻度についての分析なども実施した.
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