研究概要 |
本研究は,ICタグを用いた製品管理の手法を応用して,自転車駐輪促進システムを開発することが目的であった.自転車駐輪促進システムとは,ICタグシステムを用いて,自転車の駐輪状況の情報を管理するシステムがベースとなる.当面はこのシステムの実用性を確実なものにすることが研究重点となる.ICタグには様々な種類があるが,自転車に貼付する可能性が高いために,一般タイプに比べややコストがかかるが金属対応タイプを利用することとした. タグリーダのアンテナを出入り口に設置した駐輪場に,自転車に乗って進入することを想定して,走行スピードに対するアンテナのタグ認識率を調べた.その結果,40cm離れた位置で8km/h以下のスピードであれば100%認識可能であったが,14km/hでは50%に低下した.しかし,8km/hのスピードは,自転車の押し歩きと大きな違いはないため,安全性,確実性の点で押し歩きによるタグ認識方法の方がよりよいと考えられた. 開発を目指す本システムは,駐輪成績に対するサービスを想定しており,そのため様々な悪質な利用が考えられる.したがって,それらに対応した手法を考えなければ実用性のめどが立たない.当面,自転車と自転車所有者の情報を合致させるため,自転車にタグを貼り付けるだけでなく,自転車利用者(所有者)もICタグもしくはカードをもつこととした.タグの自転車への貼付場所として,貼付しやすさ,アンテナへの近づけやすさ(操作性),頑健性などからフロントフォーク部分を選択した.そして,種々の自転車タイプ,様々な利用者に対応したアンテナ位置を検討した結果,自転車貼付のタグに対するアンテナは高さ40cm程度,利用者のタグに対するアンテナの高さは120〜130cm程度が適当であることがわかった.17年度においては,実証実験によりハードとソフトの妥当性を検討していく予定である.
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