研究概要 |
本研究は,ICタグを用いて,自転車駐輪促進システムを開発することが目的であった.放置駐輪を減らす手法の一つとして,レンタサイクルシステムが挙げられるが,レンタサイクルの効率的な運営のためにICタグを利用する手法も提案されている. レンタサイクルのメリットは,1台の自転車を複数人で利用することにより,駅前や商店街における放置自転車数を減少させることができる点にある.そこで,ICタグを導入してレンタサイクルを運営する自治体の調査を行った.武蔵野市では,利用者登録を行い,レンタルする自転車とともに利用者の情報をICタグあるいはカードを用いて管理している.このため,駐輪場に人員を配置する必要がなく,24時間の利用が可能となっている.一方,ゲートを通過するときに認証するシステムであるため,必ずゲートを通らなければならない煩わしさと,ゲート通過時に読み取りミスが生じやすい点に問題が残る.本研究において,自転車の押し歩き程度のスピードであれば,40cm程度の距離でリーダの読み取りミスは認められなかったものの,実用レベルでは,1〜2mくらいでも読み取りミスがないことが望まれる.そこで,ゲートを通過する煩わしさと,ICタグ-リーダ距離間の問題を解決するために,個々の駐輪装置にリーダを装着する手法について検討した.駐輪装置は自転車の前輪を固定するタイプのものを想定した.自転車には16〜27インチの車輪径のものがあり,これらをカバーするためには約40cmの高さにリーダを設置し,フロントフォークの同様の高さにICタグを貼付するのが望ましいと考えられた.この手法では,タグ-リーダ間距離による読み取りミスの問題が解決できる.ただし,個々の駐輪装置にリーダを設置するコストの問題が残る.しかし,この手法であれば,駐輪場固有のスペースがなくても,歩道の一画を利用するという柔軟な対応が可能となる.
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