研究概要 |
本研究の主目的である自然再生事業評価のための定量的評価手法の開発するために、平成17年度は以下に示す研究課題を検討した。 (1)湖沼沿岸域に生育する植物種31種を対象とした被度と乾燥重量の関係式の作成 琵琶湖沿岸域に生育する大型抽水植物のヨシ、マコモ、オギ等をはじめ、群落内に生育する植物種(チクゴスズメノヒエ、ウキヤガラ、シロネ、アメリカセンダングサ等:合計31種)を対象に現存量調査を実施し、その湿潤重量および乾燥重量を測定した。測定数は279検体であり、各植物に関して関係式が得られた。 (2)湖沼沿岸域に生育する植物種31種を対象とし含有成分率リストの作成 粉砕器で各植物を粉末状にし、T-N、T-C、強熱減量、T-Pを104検体について測定した。 (3)自然再生の目標となる自生ヨシ群落の物質量の算出 夏季の琵琶湖周辺の11の自生ヨシ群落における乾燥重量、N, P含有量(g/m^2)の平均値は、488、6.6、0.8(g/m^2)であった。 (4)琵琶湖沿岸のヨシ植栽事例の評価 被度と乾燥重量の関係をBraun-Blanquet法による植生調査結果に適用し、自生群落との植物種構成比のユークリッド距離を元データにクラスター分析を適用することで、植栽群落の自然再生度を定量評価する手法を開発した。そして、本手法を琵琶湖沿岸域23の植栽ヨシ群落に適用し、 針江、BiyoセンターEゾーン、湖北町、草津川河口北、安曇川、北山田は、単位面積あたりの地上部現存量が各指標とも自生群落の平均値に近似したこと、湖北町のヨシ群落の植物種構成がもっとも自生群落に近似し、木浜、山寺川河口北、今津、近江八幡白鳥川北,牧のヨシ植栽地の植生が、自生群落と著しくかけ離れていることを近似度により定量評価した。
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