研究課題/領域番号 |
16656206
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研究機関 | 米子工業高等専門学校 |
研究代表者 |
青木 薫 米子工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (30270317)
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研究分担者 |
小田 耕平 米子工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (90043611)
田中 晋 米子工業高等専門学校, 建築学科, 助教授 (40311063)
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キーワード | リン酸メラミン / 熱分解 / PCN化合物 / 電気伝導度 / 半導体 / ^<31>P MAS NMR |
研究概要 |
ホウ酸メラミンをアルゴン気流中、600℃で熱分解することによって生じるPCN化合物の物性について検討した。調製時の冷却速度を0.2および5K/minとした場合のホウ酸メラミン(MMP)を出発物質として得られたPCN化合物(各々、PCN-1およびPCN-2)の加圧成形体について、4端子法により測定した抵抗率の温度依存性には違いが見られた。すなわち、PCN-1は303Kで約49MΩと大きな抵抗を示すが、温度の逆数に対し、抵抗率がわずかに上昇しており、半導体的性質を有するものと考えられる。一方、PCN-2は、303Kで730kΩ程度の抵抗率を示した。この値は、PCN-1に比べて小さいが、その温度依存性は、温度の逆数に対して反比例しており、導体的性質を有する可能性が示唆される。これら2つの化合物では、組成が異なっており、PCN-1は、P:C:Nがおよそ1.0:2.2:1.1程度であるのに対し、PCN-2では、Cの含有量が相当量高くなっていると考えられる。このような組成の違いは、出発物質であるMMPの結晶子のサイズの違いによる熱分解挙動の差異を反映しているものと考えられる。この組成の違いが、電気伝導の差異の主因と考えられる。すなわち、PCN-2の場合、含有されるCにより構成されるネットワークが主たる電気伝導の経路となっているため導体的性質を示し、PCN-1では、P-C-Nネットワーク全体が電気伝導に関与し半導体的性質を示すものと考えられる。 同じ試料について^<31>P MAS NMRを測定した結果、アモルファス構造を反映して、-50〜50ppm(vs.リン酸)の範囲にプロードなピークが観測された。これは主に4〜5配位をとるPの存在を示しているものと考えられる。また、-9ppmと-11.5ppmにシャープなピークが観測されており、脱産素反応が完結していないリン酸が存在する可能性が示唆された。
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