研究課題
先端オプトロニクス用の基板に対するレーザークリーニングの適用が実用化され始めている。このレーザークリーニングの機構については、いくつかのモデルが提案されているが、結論は得られていない。この現象は、ミリメートル以下の微小な空間領域での高速現象であるため、従来我々が使用してきたパルスレーザーによる時間分解イメージングシステムの空間分解能を向上させて、実空間・時間分解測定による検討を試みた。光学系等を改良した結果、従来40倍程度であった拡大率を200倍にまで上げることが出来た。クリーニング用レーザーとしては、現有のナノ秒パルスNd:YAGレーザーを用いた。基板内部での過渡応力の時間分解光弾性イメージングに関しては、通常の基板では光弾性係数が小さく、有用な光弾性イメージが得られないため、より光弾性係数の高い高分子材料(エポキシ樹脂)をモデル基板として用いることとした。モデル付着粒子として、粒径の異なる2種類のアルミナの粒子を用いた。付着粒子の飛散除去過程の、ナノ秒からミリ秒領域でのシャドウグラフおよび光弾性イメージの時間分解撮影に成功し、以下の点が明らかになった。(1)付着粒子の飛散は、レーザー照射後40〜50μs経ってから観察されるようになる。(2)レーザー照射によって発生する衝撃波や圧力波は、飛散が起こるより以前に拡散してしまっている。(3)固体内部のレーザー誘起応力は、付着粒子の有無による影響を受けていないように見える。(4)付着粒子の飛散が生じる際にも、基板内部には顕著な応力の発生は見られない。これらの結果は、衝撃力による粒子の除去モデルとは合致しない。付着粒子と基板表面を含む熱的な影響を考慮する必要があることを示唆している。また、本研究で提案した手法が、レーザークリーニング現象の研究に有効であることを、実証していると考えている。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (2件) 産業財産権 (1件)
Proceedings of LAMOM XI, Proc. of SPIE (in press)
Journal of Physics, Conference Series (in press)